アムロ式<口腔筋トレーニング>を推進するカムネット
「心と身体と噛み合わせ」
4)<咀嚼と学習・運動能力>
07・2・4(ブログ)
院長:安室 潔
<閉じる、カム、上げるの三つ(口腔筋)の動きが口腔力を創る>
全身の健康はバランスの採れた食事と適度な運動からといいます。「カムネット」では、メタボリックシンドローム対策室を立ち上げ歯科の立場から、積極的に情報を発信していきます。
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第一章 噛み合わせと身体
◆1 歯並びと噛み合わせ噛み合わせ
歯並びとは、出っ歯、受け口、という名称で思い浮かぶように、見た目を言葉で表現しているもの、といっていいでしょう。そして、噛み合わせは上の歯と下の歯のかみ合わせた時の前後左右上下的な位置関係をいいます。例えば、上下の歯が接触し、噛み合わせた時、体の中心軸に対しての下顎が左右どちらかにずれるなどです。
教科書的に理想的な歯並び、いわゆる、咬合というものがあります。上の歯のどこそこの部分と下の歯のここの部分が接触しているというように、解剖学的に、機能学的にも、そして見た目においても、申し分ありません。 このような理想的な歯並びに比べて、それ以外の、程度の差こそあれ、見た目も含めて、乱れのある歯並びを歯並びが悪いと言うことにしましょう。では、その悪い歯並びが何か、身体上問題を引き起こすのでしょうか。答えは「必ずしも身体的不調の原因になるとはいえない」です。歯並びの良否の判定には、厳密な意味での精査が必要とは思いますが、通常、診査、判定には、歯列模型、X線写真、全身、口腔内写真そして、身体不快症状の記入用紙が参考になります。
◆2 噛みあわせと姿勢
◆◇(1)
立位姿勢
噛み合わせと姿勢とは深い関係があります。 例えば、立位の姿勢で、いつも意識してほしいのが、重力に対してのタテ方向に立つと言うことです。 タテ方向に立てば、頭頚部の頭頂が天に向かう事になります。 そうしますと、いわゆるリラックスした状態だと、下顎は、弛んで真下にぶら下がった様な状態になります。そして、結果とて、上顎との若干の隙間ができるのが、肩の力が抜けた正しい立位姿勢、自然体と言えるでしょう。その自然体から噛み合わせが変化すると、例えば、しっかり奥歯で噛みしめたとします。重心は(足の裏)かかとよりに移動します。逆に前歯を切端でかみ合わせると、重心はつま先よりに自然移動し、これが左右にも当てはまります。重たい物を持ち上げる際、当然奥歯で噛みしめるわけですが重心がかかとよりになり上体が真っ直ぐ、又は反り気味になるのは、誰にでも経験があることと思います。
◆◇(2) 捻動作
このようなデータがあります。例えば頭を右側に傾けると歯列の全接触面積の内、右側の歯の接触面積の割合が多く、また逆も同じ。 また前屈の場合は主として前歯の接触面積の割合が多くをしめます。 これは同期同側の法則(後述)を裏付けています。右側に動きがある場合噛みあわせは同じ側にあるそして、傾斜した側すなわち噛みあわせがある側の姿勢筋いわゆる伸張筋に緊張が現れると言うデータです。このように、噛みあわせが同側の動きを抑制し、姿勢維持の状態になることを姿勢反射といいます。 例えばゴルフのスイングなり、野球のバッティングなり体を捻る動きの際、捻る側と反対側に多少緊張感、又はふんばりがあるほうが上半身の捻りパワーが溜まります。また、捻りが開放され捻り戻りの際、その反対側に緊張感があるほうがいわゆる「タメ」が作れます。ボールを叩く際「頭を残せ」「ヘッドアップするな」というのもその訳はここにあるのです。
◆3 バランス機能としての噛み合わせ
姿勢と動作とは、不二の関係にあります。姿勢はそのまま、動作の一形態であり、動作は、姿勢の繋がりです。そして、姿勢も動作もバランスが最も大切です。人は、物事を学習する際、ほとんどの場合、形から、入り、一定の動作を反復し、習熟していきます。 バランスのとれた姿勢、動作は、物事を修得する際、の基本、基盤となります。噛み合わせが、姿勢、又は動きの中で、変化し、身体の動きと同調している事は、後述しますが、意図した姿勢、動作を行う際、噛み合わせのポジションを意識して、コントロールすることは、どの様な種類の技能を学習する上で、非常に有益であり、意識下に無い事のマイナス面は、計りしれません。 人の身体は、非常に柔軟で、適応性に優れています。多少バランスが崩れても、又悪くても、大抵の事は、無難にこなせます。 但し、より多く、又長時間そして、もっと深く、その技能をこなし、習熟する為にも、バランス機能として、噛み合わせが一役も二役も関わっているです。。
◆4 噛みあわせの持つ誘導性と制動性
噛み合わせと姿勢、動作とに関係があるのは、おわかりいただけたと思いますが、もう一度、わかりやすく、説明しますと、例えば、後ろから突き飛ばされた時、一度頭は、後ろに反りますが、前方に倒れかけた体のバランスをとるようにして、どちらかの足が前にでるのと、合わせて噛み合わせを前に移動し、下顎を突き出す様にすると傾きは止まり、体勢が整います。逆に顎引くような噛み合わせとなりますと、傾きは何とか止められますが、崩れた体勢となり次の動きに対応できません。 そうです。 体の傾く方向にいち早く噛み合わせ(下顎)を持っていくことによってバランスを保つと同時に体勢を整え、次ぎの動きに即応できるようになるのです。 もう少しわかりやすくいいますと、噛み合わせ(下顎)と合わせて頭部が動く事によって、体の向きが体勢を崩す事なくスムースに方向変換できる様になるのです。これを噛み合わせの持つ誘導性といいます。
スポーツを行う際、姿勢、動作で、相手、又は物の突発的な動きに本能的に反応するのを本能的反射または、単純反射といい、ある程度意図的な(学習によって得られた)反応を学習的反射、又は条件反射といいます。 噛み合わせの持つ制動性は、単純反射系であり、誘導性は条件反射系と言えるでしょう。
◆5 噛み合わせと心身
姿勢・噛み合わせと心
人間が立つという姿勢には大地に垂直に、そして重力に抗して立つという、坑重力筋とバランス機構の耳の中の三半規官と、そして噛み合わせも関係しています。 そして、肝心なのは、それらを活かして立つという動作を実現する主体としての意思、意図がその活動の前になければ立つことは出来ません。
次の一文は「身体を動かす心の仕組み」 成瀬悟策 文からの文章をそのまま紹介致します。
「脳性麻痺の為十歳位まで寝たきりで過ごした子がはじめて一人でお座りができるようになった。その瞬間は、その子にとっても治療者にとっても極めて感動的な場面である。このはじめて重力にご対面の場面では、ほとんどの子が、右から左へ、左から右へと大きく、ゆっくりと眼と顔を動かして、周囲を見回す。 さらにその直後から、それまで弱々しく頼りなかったこの子達の表情から仕草、言葉使いから対人態度までがびっくりするほどしっかりたくましくなるという大変化をする。 はじめのうちは、タテになったため筋力が活動して血のめぐりが良くなり、生体活動が盛んになった為と考えてみたが、そんな生理・生物的な変化が起こるしてはあまりに急速な大変化だから、これをもたらしたのは彼のこころにおける努力活動、すなわち動作の仕方が変わった為と考えるしかない。」
立つということ、姿勢、動作が整うということは、心的な面でも画期的変化をもたらすものなのです。
◆6 手前腕の捻転軸
体の動き、特に道具を使って行う運動をしている人には知ってもらいたい体の仕組みです。
手を捻る動きは、当然その回転の捻転軸が存在します。
肘を曲げた状態では、中指、人指し指の間に存在し、主として、手腕の外転動作に強さを発揮します。伸ばした状態では、やはり中指と、薬指の間に捻転軸が存在し、こちらの場合は、手腕の内転動作に強さを発揮します。 ですから、肘の屈伸しながら、手首を返す動き、特に道具を持った動きは、手の握りに微妙に変化が生じているわけです。「どうも握りがしっくりしない」というのもここに理由があるのです。ですから複雑な動きを要求されるスポーツほど握りにこだわります。「柔らかくとか緩めに握る」というように表現します。 その動きがシンプルになればなるほど、例えば「肘を伸ばしたままとかまた曲げたままとか」だと手の回転軸に変化がなければ逆にしっかり握る方が言良いでしょう
※1 手腕の内外転とは、前ならい、又は気をつけをした状態で自分の親指を見て、体の内側に入る捻りが内転、体の外側にでる捻りが外転。
◆7 立位姿勢で得た手腕の動き特殊性
少し込み入った話になりますが、後で何度でも読み返して結構ですから、理解していただきたい体の仕組みのひとつが、体の内外の機能解剖的意味です。
正面に対して前ならいをしたときの、両腕の中側が、いわゆる体内側、そして、その反対側の外側が体外側です。その位置より上が上方で下が下方です。
そして、気をつけした時、前を前方、後ろを後方とします。
前項で腕の伸屈で手腕の捻転軸が変化すると述べましたが、これは、手腕が前、下、内方にある場合です。日常の作業の手仕事の大半は、この前下内方で行われています。
いわゆるこの域を手作業ゾーンとしますと、この手作業ゾーンを手腕がはずれます(把捉又は捕捉エリア後述)と手腕の伸屈した時の捻転軸と強さを発揮する捻転の方向が全て逆転してしまいます。それは、上方、後方、そして外方においても同様です。
その中でも一番多い動きがある外方について例を挙げますと、体外側で手腕を屈曲すると、捻転軸は小指、薬指側に移り、強さを発揮するのは内転方向です。伸ばした場合は、人差し指側に捻転軸が移動し、強さを発揮する方向は、外転方向です。 柔術系の武道の経験のある人は、手腕を捕られて技を掛けられた際、手腕がいつも、この逆にあり、抗し切れない、力が出せない、弱い姿勢にある事に気がつくと思います。 ゴルフスイングを例に挙げれば、ハーフショットは、手作業ゾーン(手指操作エリア後述)での動き、ドライバーなどのフルショットは、これら二つの領域にまたがる動きになります。スイング、ショットが安定しないのは、身体機能の解剖学的なにもこのような理由があるのです。
もし 外側のエリアである把捉エリアを遠く逸脱してしまいますとバランスの崩れた、姿勢・動きとなり、心身の安定は損なわれ、作業・運動の正確性・再現性は、非常に不安定なものになるでしょう。
◆8 手作業ゾーンの内外で起きていること
◆◇(1) 手腕動作
四つ這いから足で立って歩くようになり、手を自由に使用し始めて以来、人類は知的・行動的に画期的進歩を遂げ得たされるように、手の果たす生活上の利便性は数得きれません。
意図通りに物を掴み、持ち、道具を駆使、あるいは外界の事物を把握し、環境とのコミュニケーションを計るなど、意図どおりの動作を実現する主役は五本の指と手掌からなる「手」の屈・伸や捻りなどの動作です。だがこの「手」は、それだけで動けるというわけではありません。それに連なる手首、肘、肩の関節における屈伸、捻転から、肩胛関節を経由して体幹部「から全身に掛けて、主役の動きと同時に随伴動作として緊張したり、弛緩したりしています。 随伴動作は、意図した主役の動きを支えたり促進したりするように活動するのが普通ですが、時には主役の動きに抵抗したり妨害し、手章、腕の無用な緊張や不安定な動きが、結果、不自由な姿勢、誤動作、そして、逆の動きさえするようになることがあります。
しかし、多くの場合は、意図的な努力の主役の動きのり誤りがあり、随伴動作となる前意識的が表面上、妨害しているように見えるような事になります。 特に、身体上の問題(外傷等)なければ、意図的な主役の動きを疑って見ることは、正しい動作、行為を学習する上で大切な課程要領です。
◆◇(2) 難所越え
身体操作上で、いわゆる難所越えという言葉があります。
例えば真っ直ぐに伸ばした腕を体側から真ん前を経由して真上まで同じ速度で挙げる動作で正常成人でも肩の高さ近辺で不安定となりやすく、中にはこの難所で動きが滞る人さえいます。
これは、身体の特性上肩の高さまでは、手の甲側が上を向いて挙げてきた腕は、肩より上(非作業ゾーン又は、把捉・捕捉エリア)では、手の甲は、前下方へ向きを変えないと、真上には手腕は挙げにくいのです。 人は、数多くの骨・関節そして、それを被う筋肉・腱で構成されています。それらはひとつひとつは、丸るく動く円運動の集まりです。ひとつの関節も直線的に動く関節、又は固定されて、連動しない関節はありません。 単に、手腕を挙げる動作もいくつもの円の動きの複合的な結果として、直線的に見える動きなのです。手作業ゾーン内では、多少の許容の範囲内の無理も手作業ゾーン外に手腕がでますと、この無理が利きません。自然の動作として、手の甲は、前下方向きます。 前述した、手腕の捻転軸が入れ替わるのでなければ、肩関節が脱臼しやすい方向に、上腕骨は位置することになります。 児童等の体の柔軟な年代、又成人は、の多くのその柔軟性ゆえ、無理の効く範囲が広いだけか、又は、前意識として、手腕の捻転軸が入れ替わっているのでしょう。
この辺を理解していないと、意識的に努力して、手腕を挙げようとしても、結果は余計な緊張を引き起こし、それが慢性化、習慣化すると肩こり、頚痛、頭 痛、背中の痛みの原因になってしまいます。
◆9 もう一つのゾーン
他者との関係で生まれてくるもう一つのゾーンがあります。
例えば満員電車の中では、ギューギューに詰め込まれて他人と接触していてもさほど気にならないというか、あきらめているわけでが、公園の芝生に座いるとか、ベンチに腰掛けているとかいるような場合に、すぐとなりに密接にして他人が座ると非常に強い圧迫観を受けます。何か自分の領域が侵されたというか。自分の体に土足で踏み込まれた、特に相手に対して、自己の安定性が低い状態(弱者と強者の関係、憎悪の関係とか)に不快感、危機感を感じます。このように、主体としての身体は絶えずそのいわゆる限界ゾーンは拡大したり、縮んだりしているのです。
相手から受ける圧迫感(相手が好意的な知り合いならまた別な意味でのいわゆる引き寄せられるような親近感)は、後述するいわる、外的無条件刺激ともなり、主体としての身体に、何かしらのも生理的反射を起こさせる事にも繋がるのです。
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